STEIDL BOOK AWARD JAPAN

STEIDL BOOK AWARD JAPAN

シュタイデルブックアワードジャパンを受賞し、シュタイデル社より来年秋頃に写真集が出版されることとなりました。ファイナリストに選出された際、NHK首都圏さまより取材依頼があり、全国放送で2016年11月13日朝5時のニュース内と関東ローカルの2016年11月14日午後6時10分からの首都圏ネットワーク内で放映されました。(番組平均世帯視聴率15.9% ビデオリサーチ VOL.47 2016年 11月14日(月) ~ 11月20日(日))
ファイナリストの中で年齢が若い方で、東京をテーマにしてるということで抜擢されたようです。アワードを紹介するVTR全体で5分程のなか1分40秒あたりから私の密着取材を軸にしたものだったように思います。取材は最初に喫茶店で打ち合わせをして、後日渋谷の撮影ロケを3時間ほど、ラボでダミーブック制作を3時間ほど、11月9日のシュタイデル氏との対面レビューと翌日の発表まで行われた訳ですが、いかんせん放送時間は短いですから、ここにシュタイデル氏との対面レビューの日に私が話したことを(加筆修正しながら)記しておこうと思います。

再構築というダミーブックを制作した平野と申します。よろしくお願いします。このブックでは2014年から撮影している渋谷駅周辺の都市開発をテーマにしたものです。

東京という街は世界でも有数の破壊と再生を繰り返して激変しているところで、歴史的にも17世紀の江戸のころから何度も大火がありその都度再生してきました。第二次世界大戦の敗戦後、焼け野が原から再生していき、特に64年の東京オリンピックにむけてコンクリート造りの近代的都市になっていきました。そして今日、2020年の東京オリンピックを控えて東京の各地で大規模な再開発が行われています。その中でも一番まちとして変化が激しいのは渋谷で、20年近くの工事を行い、100年に一度ともいわれています。その中心渋谷駅は8つの路線が乗り入れていて、現在の駅の機能を維持しながら、同じ場所に少しずつ壊しながら新たなものを作っていく、この密度は世界でも稀ではないかと思います。その写真は力強く、完成した10年20年30年後からは都市の内蔵が見えるような作品にしていこうと考えています。
工事は昼夜、晴雨行われていますが、全て夜なのは工期を急ぐ都市ならではの密度、強烈な光と影のコントラスト。雨が多いのは濡れた鉄やアスファルトの質感が浮かび上がるからです。モノクロ写真なのは、本ブックはデジタルカメラによって撮影したものなのですが、写真史はカメラのテクノロジーと密接な関係にあり、フィルムとデジタルの違いは主に感度、暗部のディテール、シャープネスですがそれを強調するような画像処理をし、それが生きてくるのはモノクロだろうと、そうしました。現在を現在のテクノロジーのカメラで撮りたい。
付け加えていうと、再開発によって人々が豊かになり、幸福になるということが信じられない現代ですから、ただの工事現場の記録写真ではなく、生成のプロセスの中に美学的に自立したものを見いだしたり、失われていくものに視線をむけていったりとした作品にしていきたいと思います。
製本についてですが、内容(写真)と形式を一致させたいので生成(製本)のプロセスをあらわにするようなものにしたいです。このブックはインクジェットプリントで自分で作成し、ミスプリントなんかも綴っているのですが、もし出版が決まればオフセット印刷でなにかできることを考えていきたいです。
ありがとうございました。

説明を終えシュタイデル氏がコメントするのですが、キンチョーしてだいたいしか覚えてないので放送された部分を抜くと「工事が終わると見えなくなってしまうものを(写真で)永遠に残そうというところに私は魅力を感じた」とのことです。
結果ファイナリスト8人全員が1冊ずつ出版することになり、シュタイデル氏いわく、以前カールラガーフェルドと一緒に出版社をつくりプロヴォーグなどをまとめてだしたTHE JAPANESE BOXの第2弾をやろうとのことで、まとめたボックス販売もするとのこと。また、助成金を申請して大きい出版イベントもやっていこうとのことです。他に河出書房新社からもこのアワードのドキュメント本が出版予定とか。

来年4月あたりにドイツに行き、来年の秋ごろ出版の予定です。
アートブック世界最高峰のシュタイデルからはじめての写真集がだせる、こんな光栄なことはありません。シュタイデル氏とアワードに関わられたすべての皆様に感謝します。

引き続きご注目ください。

 

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http://tokyoartbookfair.com/sbaj-news/7012/